雇用制度を巡る潮目が大きく変わるきっかけとなったのが、トヨタ自動車の豊田章男会長(当時社長)による一連の発言だ。「終身雇用を守るのは難しい」という一言は、日本産業界全体に激震を走らせた。大企業のトップ自らが従来のシステムの限界を認めたことで、労働市場の意識変革は一気に加速した。
日本経済団体連合会(経団連)もまた、従来の統一的な雇用慣行からの脱却を呼びかけ、多様な働き方を推進する姿勢を打ち出している。しかし、これは終身雇用の完全な否定を意味するわけではない。経済界が目指しているのは、全員を一律に抱え込む旧来の制度の是正であり、意欲と能力のある人材に対して長期的な雇用機会を提供し続ける姿勢自体は今なお崩れていない。