このプロジェクトのもう一つの核であり、同時に最大のボトルネックとなったのが、パートナーである株式会社みずほ銀行との文化的な摩擦だ。伝統的メガバンクであるみずほ側は、安全性を最優先とし、堅牢な既存の銀行システムに準拠した慎重な開発姿勢を崩さなかった。一方で、アジャイルな開発とスピード感を最優先するLINE側は、意思決定の遅さに苛立ちを募らせた。
両者の相克は、システムアーキテクチャの選定やリスク管理方針を巡って決定的なものとなった。出資比率の変更や経営権の調整が試みられたものの、一度生じた溝が埋まることはなかった。メガバンクの厳格なリスク管理基準と、UX(ユーザー体験)を最優先するネット企業のカルチャーギャップが、プロジェクトの息の根を止めたと言える。