米津玄師の『KICK BACK』においてサビ前やリフレインで強烈な存在感を放つ「努力 未来 a beautiful star」という一節。この努力 未来 a beautiful star 元ネタとなっているのは、2002年2月にリリースされたモーニング娘。の通算14枚目となるシングル『そうだ!We're ALIVE』(作詞・作曲:つんく♂)です。
当時のモーニング娘。はまさに国民的アイドルグループとしての絶頂期にあり、同曲はTBS系列のソルトレークシティ冬季オリンピック中継テーマソングとしても広く親しまれました。ファンク、ポップス、合唱曲風の展開が目まぐるしく交錯するエネルギーに満ちた楽曲であり、その冒頭およびサビ直前に配置されていたのが、他ならぬ「努力 未来 A BEAUTIFUL STAR」というフレーズでした。
米津玄師自身が当時のメディアインタビューや特番で語った制作背景によると、アニメ『チェンソーマン』の楽曲制作において曲の骨組みを練り上げていた際、偶然にもこのフレーズが自然と口をついて出てきたといいます。小学生時代にリアルタイムで聴き、無意識のうちに脳裏へ深く刻み込まれていたフレーズが、デンジというキャラクターの混沌としたエネルギーと奇跡的にリンクした瞬間でした。
ここで特筆すべきは、米津玄師が単なるオマージュやパロディにとどめず、正式な手続きを経てつんく♂サイドへサンプリングの許諾を求めた点です。ソニー・ミュージックを通じて正式なオファーが届いた際、つんく♂は自身の公式ブログやnote、SNS等で当時の率直な心境を明かしています。
つんく♂は「作品を聴かせてもらったが、めちゃくちゃカッコいい」「才能あるクリエイターが自分の作ったフレーズをこうして新しい形で輝かせてくれるのは光栄なこと」と絶賛し、快諾。これにより、『KICK BACK』の公式クレジットには「作詞・作曲:米津玄師、つんく」と連名で記載されるという、J-POP史的にも極めて珍しく美しいリスペクトの形が結実しました。