航空各社が膨張式クッションや吊り下げ式足置きの使用を厳しく制限する背景には、明確な航空安全基準が存在します。飛行機においてフットレストの持ち込みや使用が禁止される最大の理由は、緊急脱出時の通路確保(避難障害の防止)と、乱気流発生時の衝撃安全性(減圧・破損リスク)の2点に集約されます。
旅客機は、万が一の不時着時に90秒以内で乗客全員が脱出できるよう設計されています。座席の足元スペースに大型のクッションが設置されていると、通路側へ脱出する際の重大な障害物となり、同列に座る他の乗客の避難を致命的に遅らせる恐れがあります。とりわけ、気圧の変化によって膨らんだクッションが座席間に強く挟まり、瞬時に取り外せなくなるリスクは航空保安上、見過ごすことができません。
また、飛行機が突然の乱気流に遭遇した際、固定されていない大きなクッションや足置きは客室内を激しく飛び交う凶器へと変化します。過去に世界の航空業界で機内持ち込みの快適グッズが原因となるトラブルや設備損傷が相次いだ経緯を受け、フィンエアーをはじめとする欧州主要キャリアでは、乗客自身が持ち込む座席拡張デバイスに対して極めて慎重なアプローチを一貫して維持しています。