桂ざこばという稀代の噺家を語る上で、師匠である人間国宝・桂米朝の存在は外せない。若き日に桂朝丸としてデビューし、師匠の薫陶を受けながら独自のエモーショナルな芸風を確立した。ふたりの間には単なる師弟を超えた深い信頼と愛情が存在し、楽屋でのやり取りは今や上方演芸史の語り草だ。
所属していた米朝事務所においても、彼は後輩たちを鼓舞する熱い兄貴分として君臨した。組織の枠組みを超えて若手の悩みに耳を傾け、時には共に涙を流しながら酒を酌み交わしたという。米朝事務所に所属する落語家たちが今も高座で魅せる洗練された中にある人情味は、米朝の流麗さとざこばの熱情が見事に融合した結晶といえる。