契約期間の有無という点だけを見れば両者は似通って見えるが、年収や福利厚生を左右する基本構造は大きく異なる。最大の相違点は「職務範囲の限定性」と、それに紐づく「賃金テーブルの設計」にある。
一般的に、正社員は全国転勤や部署異動、突発的な残業要請など、広範囲な業務命令を受け入れる見返りとして高水準の基本給や業績連動型のボーナス、退職金制度が用意されている。一方、無期契約社員は担当業務や勤務地が限定されているケースが多く、それに伴い給与体系も定額あるいは時給ベースの延長線上に据え置かれがちだ。
特にボーナスや退職金の支給実績には顕著な隔たりがある。正社員には年間数ヶ月分の賞与や勤続年数に応じた退職金が手厚く支給されるのに対し、無期契約社員では「賞与なし」「退職金は一律支給なし」と規定されている企業が珍しくない。同一労働同一賃金のガイドラインが浸透しつつあるものの、職務内容や責任の重さに違いがあることを理由に、実質的な年収差が100万円以上開く構造は今なお根強く残っている。