春から秋にかけて古閑の滝を訪れた旅行者の口コミの中に、「水がほとんど流れていない」「完全に枯れている」という戸惑いの声が散見されます。このため、ネット上では「がっかりスポットではないか」という誤った評判が流れるケースも見受けられます。
地形地質学的な観点から事実を整理すると、古閑の滝は常時大量の水が流れる河川直結型の滝(鍋ヶ滝や数鹿流ヶ滝など)とは構造が異なります。滝の上流部は広大な水源地帯ではなく、カルデラ外輪山の上部に降った雨やわずかな湧水を集めて流れ落ちる「降雨依存型」の滝です。そのため、まとまった雨が降った直後以外は、岩肌を糸のように細い水流が伝う程度にとどまります。
しかし、「普段の水量が極めて少ない」という点こそが、真冬に壮大な氷瀑を作り出す最大の要因です。水量が多すぎる滝では、水の運動エネルギーと熱量によって氷結が進まず、流氷のように流れてしまいます。対して古閑の滝は、適度な少水量が岩壁を伝うため、吹き上げる冷気によって水滴が一瞬で凍り、幾重にも重なり合って巨大な氷柱へと成長できるのです。「枯れているように見える」特徴は欠点ではなく、冬の奇跡を生み出すために不可欠な自然のメカニズムです。