カラオケの採点機能を入れた際、画面中央に表示される「全国平均」の数字はおおむね80点から85点の間に収まります。曲ごとの難易度によって多少上下するものの、童謡やシンプルなポップスでは84点前後、音程の跳躍が激しい難関曲では80点前後が標準的なベンチマークです。しかし、同じ曲を歌っても「DAM(第一興商)」と「JOYSOUND(エクシング)」でスコアが3〜5点ほど変動する現象は、日常的に歌うユーザーの間では周知の事実となっています。
第一興商が提供する精密採点Aiの平均点は、全国統計でおよそ82点〜83点台を推移しています。同システムは膨大な歌唱データをディープラーニングした専用AIを搭載しており、音程やリズムの正確性だけでなく、「人が聴いて心地よいと感じるニュアンス」を微細に解析します。音程バーに対してわずかでもフラット(低音寄り)になったり、ピッチが不安定だったりすると情け容赦なく減点されるため、利用者の体感難易度は総じて高めに設定されています。
対するエクシングの分析採点マスターの平均点は、およそ84点〜86点台と、DAMに比べてやや寛容な数値が出る傾向にあります。これはJOYSOUNDが「歌う楽しさや爽快感」を重視し、音程の許容判定幅をDAMよりもわずかに広く設けているためです。さらに、声の伸びや音量バランス(声量)が安定していれば加点が積み上がりやすいアルゴリズムが採用されているため、同一人物が同じコンディションで歌唱しても、JOYSOUNDのほうが高い数値を目撃するケースが頻発します。
このように、カラオケ機種別の採点基準には明確な思想的差異が存在します。ストイックにミリ単位の音程制御を求めるDAMに対し、全体のダイナミクスとリズムの推進力を評価するJOYSOUND――この基本設計の違いこそが、点数の格差を生み出す最大の要因なのです。