大森の魅力を語る上で、日本近代考古学の幕開けとなった「大森貝塚」の存在は外せない。1877年、アメリカの動物学者であるエドワード・S・モースが横浜から新橋へ向かう車窓から偶然発見したこの遺跡は、日本の考古学研究の第一歩となった。
現在、駅近くには「大森貝塚遺跡庭園」が整備され、当時の歴史を体感できる憩いの場となっている。発掘の経緯や土器の発見シーンを解説した展示板は、まるで質の高い歴史探訪・ドキュメンタリー番組を観ているかのような深い満足感を与えてくれる。緑に囲まれた静かな園内は、太古の時間に思いを馳せる絶好の場所だ。
線路沿いに設置された記念碑や、モース博士の功績を称えるレリーフを巡るルートは、歴史ファンのみならず家族連れにも人気が高い。何気なく通り過ぎる線路の脇に、日本の学術史を変えた大発見の現場が眠っている。