寿司の味の7割を決めるのはシャリだと言われる。米の銘柄選びはもちろんのこと、炊き方や酢の合わせ方、そして何より重要なのが「温度管理」だ。ここではネタの種類によってシャリの切り分け温度を1度単位で変えている。
温かいシャリが脂をじんわりと溶かすマグロやアナゴ。一方で、やや温度を下げて締まった身の食感を際立たせる白身やヒラメ。ロボットや全自動調理器が台頭する現代においても、客の口に入る一瞬の温度差を計算しつくす作業は、熟練の職人にしか不可能な職人芸だ。
口に入れた瞬間、シャリがハラリと解け、ネタと一体化して消えていく。その計算し尽くされた官能的な解凍感は、まさに圧巻の一言に尽きる。