SDGsの意識が定着した現代において、食材を無駄なく使い切る視点は欠かせない。大根おろしを作る際に出てくる「絞り汁」や「皮」の扱いにも、プロの工夫が光る。
おろし汁を捨ててしまうのは、旨味と栄養の半分をドブに捨てるようなものだ。ビタミンCや消化酵素であるジアスターゼは、実は水分側に多く溶け出している。プロの厨房では、この絞り汁をスープの隠し味や、肉を柔らかくするための漬け込み液として再利用するのが常識だ。
厚めに剥いた皮も捨てない。細切りにしてごま油で炒めれば、風味豊かなきんぴらに早変わりする。皮のすぐ内側は旨味が凝縮しているため、あえて皮ごとすりおろす「野趣あふれるスタイル」を提案するシェフも増えている。
丸ごと一本を使い切る思想は、環境への配慮だけでなく、料理全体の立体的な美意識を支えている。