どれほど優れた警報音が鳴り響いたとしても、それを受け取る人間側の脳が停止していては意味がない。防災心理学において長年課題とされているのが「正常性バイアス」と「多数同調バイアス」だ。
大きな音が鳴った瞬間、人間の脳は無意識に「どうせ大したことはない」「誤報だろう」「周りの人も動いていないから大丈夫」と過小評価しようとする。これはパニックによる精神的ストレスから心を守るための防衛本能だが、災害時にはこれが致命傷となる。
このバイアスを破るための唯一の処方箋は、「音=特定の動作」を身体に叩き込むトリガー学習だ。警報音が聞こえた瞬間、頭で考える前に「低くしゃがむ」「頭を守る」「動かない(DROP, COVER, HOLD ON)」という3つの安全行動(シェイクアウト動作)を反射的に起こす訓練をしておくこと。音が鳴ってから「どうしよう」と考えているようでは、初期の数秒間を無駄にしてしまう。