本作の原作改変について、インターネット上では「監督や脚本家が原作を軽視して勝手に改変した」という言説が今なお語り継がれています。しかし、これは明確な事実誤認です。
監督を務めた樋口真嗣氏および脚本の町山智浩氏への公式インタビューや当時の制作発表資料によると、大胆な原作改変を主導・要請したのは他ならぬ原作者・諫山創氏自身でした。諫山氏は実写化にあたり、「原作をそのままなぞるだけの再現なら実写化する意味がない」「映画という2時間の枠組みに合わせた、全く新しい別の物語を作ってほしい」と制作陣に強くリクエストを出していました。
さらに諫山氏は、エレンの初期設定を「普通の頼りない青年」にすることや、原作と異なる結末のプロット構築にも自らアイデアを提供していました。つまり、実写版『進撃の巨人』はクリエイターの独走ではなく、原作者公認のもとで試みられた「アナザーワールドの特撮怪獣映画」だったのです。
樋口真嗣監督が得意とする伝統的なミニチュア特撮と最新のデジタルVFXを融合させた巨大怪獣映画の手法は、後の『シン・ゴジラ』(2016年)における圧倒的な映像美へと直接結実していくことになります。映画史の文脈において、本作はその貴重な技術的実験台としての役割を果たしていました。