それは、彼女が朝ドラヒロインとして国民的スターへの階段を駆け上がっていた時期のことだった。テレビから聞こえてくる彼女の声が、どこかかすれ、聞き取りにくくなっていることに気づいた視聴者も少なくなかったはずだ。過密日程による疲労だけが原因ではなかった。喉にできたポリープ。それが、彼女の表現活動の根幹を揺るがす大きな壁となって立ちはだかったのだ。
声が出ない。役者にとって、これほど残酷な宣告はないだろう。舞台やドラマの現場では、声を張らなければならない場面が数多く存在する。しかし、無理を重ねれば重ねるほど、喉の状態は悪化していく一方だった。周囲の心配をよそに、彼女は持ち前の根性で乗り切ろうとしたが、肉体はすでに悲鳴を上げていた。