お守りを授かった多くの人が直面するのが、「どこに入れて持ち歩くのが礼儀として正しいのか」という疑問です。結論から述べると、神道・仏教ともに身につける場所について厳格な物理的指定を設けているわけではありません。三島神社をはじめとする各地の神職が語るように、基本は「常に身近に持ち歩き、大切に扱える場所」であれば、現代の生活用具に合わせること自体は禁忌ではないのです。しかし、知らず知らずのうちに神仏に対して無礼を働いてしまう決定的なNG作法がいくつか存在します。
まず代表的な疑問が、お守り財布に入れる理由とそのマナーです。金運上昇や商売繁盛を祈願した「福銭」や「小槌」の入ったお守りは、金運の源泉であるお金が集まる場所に置くことで御利益が連動すると考えられ、伝統的にお財布の内ポケットが推奨されてきました。ただし、不要なレシートや期限切れのポイントカードでパンパンに膨らんだ財布や、小銭の汚れが直接触れる場所に押し込むのは避けるべきです。清浄を好む神様をお迎えする以上、財布内を清潔に整えたうえで、カード段などの独立したスペースに丁寧に収めるのが本来の作法といえます。
一方、外出時の定番であるお守りカバンにつける位置にも明確な留意点があります。通学や通勤で使うカバンにお守りを結びつける場合、外側につけて揺らすと人混みでの引っかかりや雨泥による破損・汚れのリスクが高まります。神仏の分身を傷つけない配慮として、カバンの内側にあるファスナー付きポケットや、バッグ上部の清潔なスペースに収納するのが賢明です。また、床や地面に直接置くことが多いビジネスバッグの底にそのまま沈めておく行為も、神様を踏みつけるような位置関係を生むため避けるのが賢明です。
近年、特に若年層を中心に日常化したお守りスマホケース挟むスタイルについても、神道的な観点から検証が必要です。肌身離さず持ち歩くツールという点では、かつて着物の懐や帯の間にお守りを挟んでいた文化の現代版とも解釈でき、多くの神職も「大切に扱っている限りは問題ない」と肯定的な姿勢を示しています。ただし、ケース内部の過度な摩擦、スマートフォンのバッテリー発熱による生地の傷み、あるいは透明ケース内でホコリや指紋まみれになる状態は敬意を欠きます。定期的に端末を清掃し、挟んだお守りが圧迫で変形しないよう保護することが前提となります。
絶対にしてはならない最大の禁忌が、お守りポケットに入れるNG理由です。衣類の胸ポケットなど、心臓に近い高い位置であれば敬意を保てますが、絶対に避けるべきはズボンの後ろポケットに入れる行為です。後ろポケットにお守りを入れたまま椅子や電車の座席に座ると、体重をかけて「神様をお尻で踏みつける」形になってしまいます。無意識の行動であっても神仏に対する重大な不敬とみなされるため、ポケットを活用する際は位置関係に細心の注意を払わなければなりません。