時計の針を1998年まで巻き戻す。当時、松雪泰子が婚姻届を提出した相手は、ブラスロックバンド「THE THRILL」でギタリストを務めていたGAKUこと門脇学だった。華やかなテレビドラマの世界で脚光を浴びるトップ女優と、音楽業界のコアなファンから熱狂的な支持を集めるロックミュージシャン。一見すると対極に位置する二人の結びつきは、カルチャーシーンに新鮮な驚きをもたらした。
交際は極めて自然な形で深まった。音楽への深い造詣と美意識を共有していた二人は、互いの才能を認め合い、婚姻関係を結ぶ。2001年には長男が誕生。公私ともに順風満帆に見えた生活だったが、表現者としての多忙さとライフスタイルのズレは、徐々に二人の間に埋めがたい隙間を作っていった。
妥協を許さない映画撮影の現場と、夜を徹したライブ活動やスタジオワーク。すれ違いの日常が重なるにつれ、夫婦の歯車は少しずつ狂い始める。そして2004年12月、二人は約6年間の結婚生活にピリオドを打った。泥沼の裁判劇やスキャンダルとは無縁の、あまりにも静かで理知的な協議離婚だった。