メディア批評を専門とする人間が、自らメディアの批判対象となる事態は、言論人として致命傷になりかねない毒を秘めている。自身の発言が「お前が言うな」というブーメランとして返ってくる恐怖と、常に背中合わせの状態で論壇に立ち続けることを余儀なくされたからだ。
だが、彼はそこから言説のスタイルを微修正していった。上から目線の告発型ジャーナリズムではなく、人間の弱さや構造的課題により多角的に寄り添うアプローチへと重層化させたのである。清廉潔白な完璧主義の仮面を剥がされたことが、皮肉にも彼の分析に深みを与える契機となったとの指摘もある。