モデルとしてトップの座を確立した谷原章介に、俳優界からの熱烈なラブコールが届いたのは1995年のことでした。内田有紀が牧野つくし役で主演を務めた映画『花より男子』で道明寺司役に大抜擢され、銀幕デビューを飾ります。
『花より男子』の道明寺司といえば、2005年のテレビドラマ版で嵐の松本潤が演じたイメージを強く持つ方が多いかもしれません。しかし、映画版で「初代・道明寺司」を演じたのは谷原章介でした。セレブ集団「F4」の絶対的リーダーであり、傲慢でありながらどこかナイーブな一面を持つ大財閥の御曹司という難役に対し、製作陣が白羽の矢を立てたのが彼でした。
キャスティング決定当時の映画関係者の証言によると、「少女漫画界の金字塔を初の実写映画化するにあたり、道明寺の圧倒的な華と浮世離れしたセレブ感を体現できる長身の俳優を探していた。谷原さんのビジュアルをオーディションで見た瞬間、満場一致で決定した」と語られています。
映画が公開されると、原作ファンからも「漫画のビジュアルイメージそのもの」「中性的なロン毛と鋭い眼光がまさにリアル道明寺」と大絶賛を浴びました。演技経験が浅かった当時の彼は、現場で監督や共演者と徹底的に議論を重ね、持ち前のストイックさで役作りに没頭したといいます。この鮮烈なデビュー作によって、単なるモデルの枠を飛び越え、「映像のなかで圧倒的な存在感を放つ若手俳優」としての認知を一気に全国区へと広げました。