バンコク中心部(スクンビットやシーロム地区)で生活する一般タイ人への聞き取り取材や現地メディアの論調を追うと、呼称に対する極めて合理的かつ柔軟な使い分けの実態が浮かび上がります。
現地住民同士のタイ語での会話において、「バンコク(Bangkok)」という単語が使われることは事実上皆無です。地方から上京する際も「パイ・クルンテープ(クルンテープへ行く)」と表現するのが100%の通例であり、タイ人にとって「バンコク」は完全に「外国人向けの対外呼称」として認識されています。
「タクシーで『バンコクへ行ってくれ』と言っても意味は通じるが、自国の首都を外国語名で呼ぶ奇妙な違和感がある」と現地住民が語るように、内なる呼称としての「クルンテープ」と、グローバルビジネス・インバウンド観光における「バンコク」の間には明確な心理的境界線が引かれています。