2026年3月1日から31日にかけて開催された「さよなら興行」は、福岡のエンターテインメント史に刻まれる社会現象となりました。『ローマの休日』『ニュー・シネマ・パラダイス』『タイタニック』など、大洋のスクリーンを彩ってきた往年の名作が連日上映され、劇場前には別れを惜しむ観客が早朝から長蛇の列を作りました。
当時の特番インタビューや報道取材において、長年現場を支えた支配人は次のような胸中を語っていました。
「この劇場はお客様の人生の記憶と一体になっています。『初デートが大洋だった』『亡き父と手を繋いで観に来た』といったお手紙を何百通もいただきました。建物を閉じるのは耐震上の止むを得ない判断ですが、ここで紡がれた文化とお客様への感謝は決して消えることはありません」
劇場の最終日となった3月31日、最終上映『ニュー・シネマ・パラダイス』の幕が下りると、客席からはスタンディングオベーションと割れんばかりの拍手が鳴り響きました。ロビーの記帳台には3,000件を超える感謝のメッセージが寄せられ、地元ファンのみならず、かつて博多で学生時代を過ごした全国の元住民が駆けつけるなど、単なる一商業施設を超えた強烈なコミュニティの絆が浮き彫りとなりました。