公的な農業施策を司る果物と野菜の違いについて農林水産省は、生産現場の実態に基づいた明確なガイドラインを設けています。国の統計調査や生産出荷の区分において、野菜は「田畑で栽培され、1年生または2年生の草本植物から収穫されるもの」と定義されています。
この基準に当てはめると、毎年苗を植えて育てるイチゴ、スイカ、メロンは完全な野菜です。「イチゴは野菜なのか果物なのかどっちなのか」という長年の議論に対し、行政の生産統計上の答えは「野菜」となります。
とはいえ、栽培現場では野菜であっても、消費者の感覚としてはデザートやおやつとして親しまれています。そこで農水省が編み出したのが果実的野菜という独自のカテゴリーです。苗を植えて育てる草本植物でありながら、果物と同じように甘味を味わう作物を指す専門用語として、スイカやメロンの果物・野菜分類にもこの名称が使われています。
行政がこうした二面性を持たせた背景には、農家の栽培管理や補助金などの流通政策を正確に行いつつ、市場の商取引に無理を生じさせないための実務的な配慮があります。