若き日のような150キロ台後半の直球でねじ伏せるスタイルからの脱却。それこそが、近年の彼を支える最大の武器だ。直近の登板で見せたピッチングデザインは、極めて洗練されている。スプリットの落差だけに頼らず、カットボールとツーシームを駆使して打者の芯を外す。投球のアートとも呼べる精密なコンビネーションだ。
マウンド上での凄まじい執念は健在だ。ピンチを迎えた瞬間に見せる、あの鋭い眼光。かつて24連勝を達成した2013年と変わらぬ勝負強さが、修羅場をくぐり抜けてきた30代後半の今、熟成された技術と融合している。球数が嵩んでも崩れないスタミナ管理と、キャッチャーの構えからミリ単位もぶれないコントロール。この舞台裏にある徹底したケアと分析が、偉業達成への確かな足がかりとなっている。