塗装業界では、「一人親方」として独立して働く職人も多い。大手の施工会社に属さず、個人事業主として複数の現場を掛け持ちするスタイルだ。この形態は自由度が高い反面、安全教育や装備の整備が自己責任になりがちという側面がある。
大手ゼネコンや施工管理会社が入る現場では、安全担当者が常駐し、装備チェックや安全ミーティングが行われる。しかし、個人宅の外壁・屋根塗装のような小規模工事では、そうした管理体制が手薄になることがある。斎藤さんが従事していたのも、住宅の屋根塗装という比較的小規模な現場だった。こうした現場こそ、安全意識の個人差が直接事故リスクに結びつく。
業界全体として、小規模現場における安全管理の底上げは急務だ。元請け業者が下請けや個人事業主に安全責任を転嫁するのではなく、発注者側も含めた安全文化の醸成が求められている。