地下アイドルが過激化の道を選んでしまう背景には、個々のモラルの問題にとどまらない、地下アイドル業界全体の過酷な経済構造が存在します。
都内だけでも3,000組以上が存在すると言われる現在の市場では、一般的な対バンライブに出演しても、チケットの売上バック(キックバック)だけで会場費や遠征費、衣装代を賄うことは不可能です。グループ運営の売上構成比を見ると、実に70%〜85%を物販(チェキ会)の売上が占めています。つまり、メンバーがファンと接触してチェキを撮らなければ、翌月の活動資金すらショートする自転車操業に陥っているのが実情です。
こうした状況下で手っ取り早く新規客を引き込み、太客(高額課金ファン)を繋ぎ止める手段として選ばれるのが「接触の軟化」と「衣装の露出」です。歌唱力やダンスのクオリティを高めるには膨大な時間とレッスン費用がかかりますが、衣装の布面積を減らし、密着ハグを解禁すれば、一夜にしてSNSでバズを生み出し、現場に行列を作ることができます。この「短期的な劇薬」に一度手を出してしまうと、サービスを元に戻した瞬間にファンが離脱するため、より過激な刺激へとエスカレートせざるを得ない負のスパイラルが形成されているのです。