世間的な認知度で言えば、誰もが口ずさめる『ultra soul』がB'zの売上1位であると誤認しているケースは少なくありません。しかし、実際のフィジカル売上データでは同曲は約87.6万枚であり、1位の『愛のままにわがままに 僕は君だけを傷つけない』(約202万枚)の半分以下にとどまります。
この逆転現象の背景には、日本の音楽市場における「フィジカル(CD)市場の構造変化」が存在します。『愛のままに〜』がリリースされた1993年は、日本レコード協会が公表するCD生産額が史上最高水準に向かって急伸していた時期であり、テレビドラマのタイアップとCDショップの店頭流通が直結していました。一方、『ultra soul』が発売された2001年は、音楽配信の黎明期と重なり、CDバブルが崩壊し始めた過渡期でした。
音楽プロデューサーや関係者の証言によると、B'zは2000年代以降、テレビ出演を厳選し、全国ツアー「LIVE-GYM」の現場パフォーマンスへと活動の軸足を移していきました。その結果、『ultra soul』は世界水泳のテーマソングとしての長年の放映、夏フェスやライブでの圧倒的なキラーチューン化、そして2026年のサブスクリプション解禁を経て、デジタルストリーミング時代に再び再生回数を爆発させることとなりました。売上枚数という単一の指標だけでは測れない「楽曲の生命力」がここに示されています。