SMAPの楽曲が常に特別な響きを持つ理由の一つに、計算され尽くしたボーカルの役割分担(歌割り)があります。『ありがとう』においても、それぞれのメンバーの声の質感とキャラクターが緻密に配置されています。
ドラマ主演を務めた草彅剛の、飾り気がなく真っ直ぐに心へと飛び込んでくる素朴な歌声から幕を開けるオープニング。そこへ稲垣吾郎の優美で繊細なトーンが重なり、楽曲に上品な柔らかさを与えます。続いて香取慎吾の温もりと包容力のある低中音域が土台を支え、中居正広の情熱的で人間味に満ちた歌唱がエモーショナルなアクセントを加えます。
そして、メロディが大きく展開するブリッジ部分で木村拓哉の圧倒的な説得力と力強さを持つボーカルが響き渡り、サビの全員によるユニゾンへと一気に昇華します。個々の声質は決して均質ではないからこそ、合流した瞬間に「不揃いな人間が集まり、支え合っている美しさ」が音楽的に具現化される構成となっています。