ネット上の情報では「パスポートカバーは必須アイテム」と語られることが多いですが、パスポートカバーの必要性には制度上の盲点が存在します。
外務省領事局の規定および各国入国管理局の指針において、パスポートは「公文書」であり、旅券の表紙や査証ページに付箋やシールを直接貼ること、および許可されていない加工を施すことは厳格に禁じられています。過去には、パスポートカバーのポケットに接着剤や強い粘着性素材が使われており、長期使用によってパスポートの表紙の金文字(菊の御紋)が剥がれてしまい、「旅券の汚損」とみなされて搭乗拒否されたトラブルも実在します。
特に注意すべきは、100均の安価なビニール製品で起こりやすい「可塑剤の移行による貼り付き」です。夏の高温多湿な環境で長期間パスポートをきついビニールカバーに挟み込んだまま放置すると、表紙のコーティングとビニールが熱で融着し、剥がす際に表紙が破損する恐れがあります。
海外旅行前の準備として、カバーを装着したまま何年も保管するのではなく、「出国から帰国までの移動時のみカバーを装着し、帰国後の自宅保管時はカバーを外して風通しの良い暗所で保管する」ことが、旅券のコンディションを良好に保つ鉄則です。