数トンに及ぶ巨大神輿を動かす原動力は、機械でも重機でもない。血の通った人間たちの肩と、足腰の粘り強さだけだ。深川八幡祭りや鳥越祭の渡御では、棒を取り囲む担ぎ手たちの息遣いが地響きとなって伝わってくる。担ぎ手の肩には「神輿ダコ」と呼ばれる硬い瘤(こぶ)ができ、激痛が身体を走る。それでも彼らは歯を食いしばり、威勢の良い掛け声を上げる。
とりわけ鳥越祭の夜間渡御では、狭い路地を4トンの神輿がすり抜ける。担ぎ手同士の熱気と押し合いは極限状態に達し、一歩間違えれば大怪我につながる緊張感が漂う。「肩の痛みこそが神様を背負った誇りだ」と語る古参の担ぎ手たちの言葉には、地域コミュニティの深い絆と、世代を超えて受け継がれる情熱が込められている。