そもそも、なぜ油抜きというひと手間が必要なのでしょうか。その理由は、和食における出汁(だし)と食材の相互作用にあります。
油揚げの表面を覆っている製造過程の油は、放っておくと空気に触れて酸化が進みます。この古い油の膜がバリアとなり、調味料や出汁が中まで浸透するのを阻害してしまうのです。油抜きを行うことで表面の酸化油が取り除かれ、大豆生地のスポンジ状の細孔が開きます。
日本豆腐協会の資料や専門家の知見によれば、油を抜いた油揚げは吸水率が大幅に向上し、短時間の煮込みでも煮汁をたっぷりと含みます。油っぽさが消えて出汁の旨味がダイレクトに染み込むため、料理全体の味が引き締まり、風味豊かに仕上がるのです。