案内されたのは、一般マップには未だ記されていない北側丘陵の深部。関係者以外立ち入り禁止のゲートを抜けると、木漏れ日の中に突如として現れたのは、木製デッキと未来的なセンシングタワーが林立する「次世代共生実験区」だった。
鬱蒼とした原生林の起伏をそのまま生かしたコースを、無音の自律走行EVコミューターが滑らかに疾走していく。車体には土壌水分や動植物の生息データをリアルタイムで収集するバイオセンサーが搭載されており、人が森の中を移動する行為そのものが自然環境のモニタリングに直結する仕組みだ。倒木を活用したオフグリッド型の研究宿泊キャビンや、夜間の生態系に配慮した超低照度スマートフットライトなど、細部に至るまで驚くべき配慮が施されている。「人間が森を切り拓くのではなく、テクノロジーを森のルールに適応させる」。案内を担当した開発チーフの言葉が、このエリアの本質を物語っていた。