紫金飯店 原宿店を語る上で欠かせないのが、将棋の総本山である「将棋会館」(渋谷区千駄ヶ谷)との深いつながりです。数々のタイトル戦や過酷な順位戦において、多くのトップ棋士たちが紫金飯店からの出前を将棋の勝負めしとして指名してきました。
棋士の食事手配に携わってきた関係者の証言や当時の報道によると、1日に数十キロカロリーものブドウ糖を脳内で消費すると言われる棋士たちにとって、対局中の昼食・夕食は勝敗を左右する極めて重大な戦略要素です。消化が良く、適度な塩分とエネルギーを素早く補給でき、なおかつ午後からの長考を妨げないバランスが求められます。
藤井聡太竜王・名人をはじめとする歴代の棋士たちが重要な局面で同店のルースー炒飯やオムライス、五目焼きそばなどを選んだことがメディアで報じられると、ファンの間でも瞬く間に話題となりました。緊迫した静寂の中で繰り広げられる頭脳戦の裏には、紫金飯店の職人たちが丹精込めて作った温かい町中華の力強い味わいが常に寄り添っていたのです。