作品の核をなすのは、スケール感あふれるSFアクションと、観客の精神をじわじわと追い詰めるサスペンス・スリラーの見事な同居だ。近未来の極限状態に叩き込まれた登場人物たちの思惑と裏切り。その一瞬の選択が、容赦のないスピード感で展開していく。
「派手な爆発や格闘を見せるためだけのアクションなら、僕が撮る必要はない」と田中は言い切る。「一発の銃弾、すれ違う視線一つに、登場人物が背負う過去と恐怖が宿っていなければ意味がないんだ」。緻密に計算された構図と極限の心理描写が噛み合い、観客を逃げ場のない緊張感へと引きずり込んでいく。