山口馬木也が同業者や京都の撮影所スタッフから絶大なリスペクトを集める最大の要因は、他の追随を許さない殺陣の実力にあります。刀を抜く瞬間の静寂から、刃が空を裂くスピード、重心のブレない足さばきに至るまで、その所作には長年の鍛錬によって身体に染みついたリアリティが宿っています。
現代の映像作品では、カメラワークや編集で刀のスピード感を補う手法が一般的ですが、山口の殺陣は長回しのワンカットでも一切の隙がありません。切先の一ミリまで神経を行き届かせた剣さばきは、時代劇の本場である東映京都撮影所の職人たちをも唸らせるレベルに達しています。
『侍タイムスリッパー』のクライマックスで見せた真剣勝負を彷彿とさせる立ち回りは、まさに彼が長年磨き上げてきた武芸百般の結晶です。「腰が落ちた本物の構えができる稀有な俳優」として、アクション監督や演出家たちから絶大な信頼を寄せられています。