小学館から刊行されているてんとう虫コミックス全45巻は、藤子先生が全1300話以上の中から自ら選定・加筆修正を施した珠玉のマスターピースです。全巻を通して読むと、ギャグ漫画としてのキレ味のみならず、人生の指針となる数々の名言・名セリフに出会うことができます。
「目が前についてるのはなぜだと思う?前へ前へと進むためだ」「過ぎ去った時間はもう二度と戻ってはこないんだ」といった人生訓から、ドラえもんがのび太に注ぐ不器用で温かい眼差しまで、言葉の一つひとつが読者の胸を打ちます。また、通常版の単行本には収まりきらなかったエピソード群は、後に刊行された『藤子・F・不二雄大全集』によって単行本未収録作品も含めて網羅され、マニア垂涎の研究対象となっています。
映画の原作となった大長編ドラえもんシリーズ(『のび太の恐竜』から『のび太のねじ巻き都市冒険記』まで全17作を藤子先生が執筆)では、日常を飛び出した壮大な冒険と緻密なSF考証が展開されます。映画版の派手な演出とは一味違う、コマ割りによる静謐な心理描写や張り巡らされた伏線の数々は、漫画表現の到達点として今なお高い評価を獲得しています。