スタートダッシュに失敗した森内閣に、最初の壊滅的打撃を与えたのが就任からわずか1か月余りで起きた「神の国発言」でした。2000年5月15日、神道政治連盟国会議員懇談会の結成30周年記念祝賀会に出席した森首相は、挨拶の中で次のように述べて世論に激震を走らせました。
「日本の国、まさに天皇を中心としている神の国であるぞということを、国民の皆さんにしっかりと承知していただく」
大日本帝国憲法下の国家神道を想起させるこの発言は、日本国憲法が掲げる「主権在民」や「政教分離の原則」に真っ向から抵触するとして国内外から凄まじい批判を浴びました。野党は内閣不信任決議案を提出し、新聞各紙も社説で一斉に首相の資質を問う論陣を張りました。
さらに追い打ちをかけたのが、その後に続いた失言・失態の連鎖です。翌6月の衆議院選挙前には「無党派層は寝ていてくれればいい」という趣旨の発言が報じられて有権者の怒りを買い、IT(アイティー)革命を「イット革命」と読み間違えるなど、首相としての知性や危機管理能力に対する国民の失望感が急速に拡大。この一連の舌禍により、支持率は瞬く間に20%台を割り込む危険水域へと転落しました。