新1万円札は、肖像画の変更だけでなく、世界トップクラスの印刷・偽造防止技術が惜しみなく投入されている点でも注目に値します。
最大の特徴は、銀行券として世界初となる「3Dホログラム」の導入です。紙幣を傾けると、肖像の渋沢栄一の顔が立体的に回転するように向きを変えます。さらに、光にかざすと浮かび上がる「すかし」部分には、渋沢の肖像に加えて背景に微細な格子模様が施されており、従来の技術を遥かに超える偽造耐性を誇ります。
また、視覚障がい者や外国人にも分かりやすい「ユニバーサルデザイン」が徹底されているのも特徴です。指で触って券種を識別できる深凹版印刷の配置パターンが変更されたほか、表裏両面の数字表記(10000)が従来の漢数字中心から大きな洋数字へと大型化され、瞬時に識別できるよう工夫されました。
そして、もうひとつの見どころがお札の裏面に描かれた「東京駅丸の内駅舎」です。
1914年(大正3年)に開業した東京駅丸の内駅舎は、辰野金吾が設計した赤レンガ造りの国指定重要文化財です。日本の近代化を象徴する鉄道網の起点であり、渋沢自身も日本鉄道会社の設立に関わるなど鉄道の発展に深く寄与しました。戦災による焼失を乗り越え、2012年に創建当時の美しい姿へと復元された東京駅は、日本の「近代化の歩みと不屈の復興」を象徴する建造物として裏面に採用されています。