企業法務やアドバイザリーを担当する法務・法律サービス業の現場において、「蓋然性」という言葉を取り扱う際の警戒心は一段と高い。経営陣へ提出するリスク評価レポートやリーガルオピニオン書において、不用意な言葉選びは企業の意思決定を誤らせる原因となるからだ。
日本弁護士連合会に所属する弁護士や法務プロフェッショナルが実務で指導するように、単に可能性が高いという意図で「蓋然性がある」と記載すると、社内や相手方に「裁判でも勝てるレベルの客観的証拠が揃っている」と誤認されるリスクが生じる。逆に、蓋然性が低いと結論付けた案件であっても、事態の変化によって急激に法的な脆弱性が浮き彫りになるケースも少なくない。
実務で失敗を防ぐためには、単に「蓋然性が高い/低い」という形容に頼るのではなく、どのような客観的事実に基づき、どの程度の確証をもってその判定に至ったのかというプロセスを明記することが不可欠だ。