久保本家酒造が近年特に注力している取り組みが、「睡龍 生酛熟成酒プロジェクト」だ。出来立ての酒をすぐに出荷するのではなく、数年から十数年にわたって蔵内でじっくりと寝かせ、酒が最も輝く「飲み頃」を迎えてから世に送り出す。
熟成と聞くと「老ね香(ひねか)」や重苦しい色合いを連想する人もいるかもしれない。だが、同蔵の純米熟成酒は異なる。適切な温度管理と緻密な経過観察のもとで熟成された酒は、黄金色に輝き、杏子やドライフルーツ、さらには上質な香木を思わせる複雑なアロマを纏う。時間が酒の尖りを削ぎ落とし、エキス分を調和させることで、喉を滑らかに通り抜ける至高の液体へと仕上がるのだ。