「血液検査だけでがんが早期に見つかるなら、苦しい胃カメラや大腸カメラを受けたくない」と考える受診者は少なくありません。しかし、多くの消化器外科医や腫瘍内科医は、健康診断における一律の腫瘍マーカー測定に対して否定的な見解を示しています。
その最大の理由は、「腫瘍マーカーはがんの早期発見ができない仕組みになっている」からです。腫瘍マーカーとは、がん細胞が作り出す特有のタンパク質や酵素などの物質を測定するものですが、初期のがんは体積そのものが極めて小さいため、血液中に漏れ出るマーカーの量もごく微量にとどまります。
結果として、初期段階では数値が基準値内に収まってしまい、病巣が存在するにもかかわらず「異常なし」と判定されてしまいます。こうした科学的根拠から、日本癌治療学会などの主要な学会ガイドラインでも、無症状の一般住民に対するスクリーニング検査としての腫瘍マーカーは原則として推奨されていません。