能力名「Dirty Deeds Done Dirt Cheap」のルーツは、豪州出身の世界的ハードロックバンドAC/DCが1976年に発表した名盤アルバムおよびそのタイトルトラックだ。直訳すれば「薄汚い仕事も安価で請け負う」。裏社会の始末屋を歌った泥臭いロックアンセムを、荒木飛呂彦は「いともたやすく行われるえげつない行為」という日本語へと換骨奪胎した。
リズム感あふれる語感の中に潜む暴力性と事務的な冷徹さ。洋楽のエッセンスをキャラクターの造形や能力の概念にまで血肉化させる荒木の職人芸は、このスタンド名においてひとつの頂点を極めたと言ってよい。音楽ファンをも唸らせるリファレンスの深さは、作品のタイムレスな魅力を支える重要な柱だ。