映画版において圧倒的な存在感を放ったのが、主演を務めた二宮和也である。人生の挫折を味わい、妻に見放された無気力な男・春日井健の虚無感と、タングと触れ合う中で徐々に灯る情熱の変化を、繊細極まりない眼差しと声のトーンで体現した。
撮影現場では何もない空間に対して演技を繰り広げる場面も多かったが、完成した映像の中では、あたかもそこに実体が存在するかのような濃密な呼吸の掛け合いが成立している。ワーナー・ブラザース ジャパンの制作陣による妥協のないCGワークと二宮和也の卓越した演技力が共鳴し、観客の心に寄り添うロードムービーが完成した。