もし八波むと志が34歳で世を去ることなく、50代、60代と芸を磨き続けていたら、日本のコメディ界はどのような進化を遂げていたでしょうか。演劇評論家や当時の関係者は一様に「昭和を代表する大御所俳優・司会者になっていたことは間違いない」と口を揃えます。
彼が亡くなった後も、由利徹や南利明はそれぞれの道で喜劇界の重鎮として活躍を続けましたが、生涯にわたって八波むと志へのリスペクトを忘れることはありませんでした。舞台裏で見せる後輩への面倒見の良さや、舞台に対するストイックな姿勢は、浅草軽演劇の魂として後進の芸人たちへと脈々と受け継がれています。
太く短い34年間の生涯を全力で駆け抜けた八波むと志。彼が残した笑いの数々は、色あせることのない昭和カルチャーの金字塔として、今なお多くの人々の記憶に刻まれています。