羽生善治九段の伝説は、小学生時代からすでに始まっていました。小学2年生で将棋を覚えると瞬く間に頭角を現し、八王子将棋クラブで腕を磨いた少年は、1982年に12歳で棋士養成機関である奨励会へ入会します。
当時の奨励会は「東の羽生、西の村山(聖)」と並び称され、全国から集まった天才少年たちが鎬を削る過酷な修羅場でした。しかし羽生少年は、入会からわずか3年余りという異例のスピードで昇段を重ねます。対局相手が息をのむほどの鋭い指し回しと、一切の無駄がない終盤の寄せは、すでにベテラン棋士を震撼させる凄みを帯びていました。
そして1985年12月、15歳(中学3年生)で四段昇段を果たし、加藤一二三九段、谷川浩司十七世名人に続く史上3人目の中学生棋士としてプロデビューを飾ります。「中学生プロ」という看板を背負いながらも、本人は至って冷静沈着。プロ入り直後から驚異的なスピードで勝ち星を積み重ね、将棋界に新たな時代の幕開けを告げました。