彼女が芸能界へ第一歩を踏み出したきっかけは、CMタレントとしての注目、そして吉本興業主催のオーディションで見出されたことだった。当時まだ10代半ばだった彼女を主演に抜擢したのが、名匠・市川準監督である。1999年に公開された映画『大阪物語』で、彼女は両親の離婚に揺れる少女の複雑な感情を等身大かつ鮮烈に表現してみせた。
市川準監督の現場は、虚飾を削ぎ落とした自然体のリアリティを求めることで知られる。そこで鍛え上げられた感覚こそが、池脇千鶴という女優の原点となった。カメラを意識させない佇まいと、日常の延長にあるような生々しい感情表現。デビュー作にして数々の新人賞を総なめにした事実は、映画界全体に大きな衝撃を与えたのだった。