当時の日本の音楽業界において、「チェリー」の存在感は際立っていた。タイアップやミリオンヒットが乱立した90年代後半のメガヒット時代において、極めてシンプルなコード進行と素朴な編成でありながらチャートの頂点へと駆け上がったからだ。
キャッチーなメロディは誰にとっても親しみやすいJ-POPの王道でありながら、根底に流れるリズム隊の太いうねりとギターの歪みは紛れもないロックの精神。ポップネスとオルタナティヴ・ロックのスピリットが見事に同居したこの楽曲は、以降の邦楽シーンにおけるバンドサウンドのあり方を決定づけた。