かつて、誰かのために尽くすことは「自分を犠牲にする尊い行為」とされてきた。しかし、その認識は古い。現在の研究が示すのは、利他行動がもたらす極めて実利的なメリットだ。他者を支援するコミュニティに属する個人は、孤立した個人よりも災害や経済的ショックに対する回復力が圧倒的に高いことが分かっている。
「情けは人のためならず」という古い諺がある。これはまさに、現代のシステム論が証明する真理そのものだ。他者への投資は、回り回って強固な社会関係資本として自分に還ってくる。私たちは今、利己的に生きることの限界に気づき始めている。