私たちの身体の設計図である遺伝子は、筋肉の成長スピードに最も直接的な影響を与える。特に注目すべきは「ACTN3」と呼ばれる遺伝子だ。この遺伝子は、速筋繊維(瞬発的に強い力を出す筋肉)の維持に不可欠なα-アクチニン-3というタンパク質を作るコードを持っている。この遺伝子のタイプによって、生まれつきスプリンタータイプなのか、長距離ランナータイプなのかが決定される。
もう一つの鍵は「マイオスタチン」だ。これは筋肉の過剰な成長を抑制するタンパク質であり、いわば体内の「ブレーキ」の役割を果たしている。生まれつきこのマイオスタチンの働きが弱い、あるいは分泌量が少ない人は、ブレーキが壊れたスポーツカーのように、少しの刺激で筋肉が肥大していく。これが、いわゆる「イージーゲイナー」と呼ばれる人々の正体だ。