スマートフォンの画面をスクロールすると、暗転前の客席を写した画像が嫌でも目に入る。開演30分前、まだ観客がまばらな時間帯に撮影された写真が、「ガラガラ」の証拠として切り取られ、瞬く間に拡散していくのが現代のSNSの常套手段だ。特に知名度の高い大物アーティストの場合、こうしたネガティブな情報は格好のバイラル素材となる。
だが、実際に会場に足を運んだファンの証言は大きく異なる。開演直前には席が埋まり、最終的には立ち見が出るほどの盛況ぶりを見せた公演も少なくない。デジタル空間で増幅された「不人気」のイメージと、リアルな会場の熱量には、明らかな乖離が存在している。