最も心を痛め続けているのは被害者遺族だ。加害者の名前が伏せられ、どのような生活を送っているのか見えない恐怖と戦い続ける遺族の苦悩は、言葉では言い表せない。実名報道を求める声の根底には、被害者側の置き去りにされた人権に対する怒りと切実な訴えが存在する。
一方で、加害者が社会から完全に排除され、居場所を失った結果として再犯に及ぶリスクも懸念される。更生プログラムの運用と社会復帰後の監視体制、そして被害者支援の拡充という三者のバランスをどう取るか。単に実名を明かすか隠すかという二元論では解決できない、複雑な制度設計が求められている。