無眼球症の治療において、視力の獲得と並んで極めて重視されるのが無眼球症における顔の成長のコントロールです。人間の頭蓋骨および眼窩(眼球が収まる骨のくぼみ)は、眼球内部からの物理的な圧力刺激を受けることで正常に成長・拡大していきます。
眼球が存在しない場合、眼窩骨の発育が停滞し、成長とともに左右非対称な顔立ちになったり、まぶた(眼瞼)が小さく縮小してしまったりするリスクが生じます。この骨格の低形成を防ぐため、生後数週間から数カ月の極めて早い段階からの医学的介入が開始されます。
具体的な先天性眼球欠損の治療法としては、まず「コンフォーマー」と呼ばれる透明な医療用拡張器を眼窩内に挿入します。赤ちゃんの頭部成長スピードに合わせて数週間から数カ月単位で少しずつサイズの大きいものへと交換し、眼窩容積とまぶたの皮膚を押し広げていきます。
眼窩のスペースが十分に確保された段階で、外見を整える精密な義眼へと移行します。眼窩の萎縮が強い場合や結膜嚢が浅い症例では、自家組織(真皮脂肪など)の移植や人工骨インプラントの埋込を行う義眼床形成術が実施され、義眼が安定して収まる土台を外科的に構築します。